生徒会長はこう決まる2025 ~しゃのみゆの絆~

 

「ちょっとみんな、聞いたってや~。今日は、こうしてニコモ全員集まっとるし、そろそろ次の生徒会長でも決めんで~」

 

撮影の休憩時間。

 

ふいに、現ニコラ生徒会長であるコハナが切り出したため、他のニコモたちは一斉に静まり返った。

 

ややあって、場の空気を読まないことでおなじみのソノマが口を開く。

 

「え~、また今年もコハナちゃん、やったらええんちゃうのん?」

 

そう言うと、ソノマはコハナを指差した。

 

「いや、いや、いや。ええかぁ、ソノマちゃん」

 

コハナ、表面上は平静を装っているが、内心は若干イライラして。自分がついぞできなかったピン表紙を、ソノマが去年やったこと、さらには、レピピのイメモをぶん取られたことに嫉妬しているのだ。

 

「うちは4月から高2やし、そうなるともうニコラは、じきに卒業やねん。せやから、次は新高1の誰かが、うちの代わりに生徒会長やることになるんやで~」

 

コハナ、この後に「アホか」と付け加えるのを、ぐっと飲み込んで。

 

「へぇ、ほなしゃあないねんな」

 

外仕事で忙しく、あまり撮影に参加できないため、ニコラの内情や独特のルールに、めっぽう疎いソノマであった。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

と、そんな表面上は微笑ましくも、その実、わかる人にはわかるギスギスしたやり取りを、密かに耳をそばだてて注意深く聴き入っていた、ひとりのニコモがいた。

 

そして、そのニコモ―――シャノンは、心の中で強く強く、この中の誰かが自分を次期ニコラ生徒会長に推薦してくれないものかと願っていた。

 

ところがここで、そんなシャノンの期待とはウラハラに、ニコラを代表する《しっかり者キャラ》で知られるレイナが声を上げる。

 

「えーっと、あのね。私は、アンナちゃんが適任だと思いまーす!」

 

理屈や根拠なしで、イキナリ結論を言うところも、いかにも彼女らしい。

 

すると、その瞬間。

 

意外にも、他のニコモたちから、同意を意味する温かい拍手が、自然な感じで沸き起こったのだ。

 

たしかにレイナといえば、後輩たちの面倒見がよく、だれにでも優しいと評判で、事実、《ニコモのオンニ》として慕われる存在である。

 

また、同学年でもレイナのことを頼りにしているニコモは多い。

 

要は、みんなレイナのことが大好きなのだ。

 

だからこそ、そんなレイナのニコモ内における影響力は、彼女自身が考えるそれとは比較にならないくらい、大きい。

 

(アンナちゃんが次の生徒会長なら納得できる。アンナちゃんこそ次期会長にふさわしい。しかも、それをあのレイナちゃんが言うんだから間違いない)

 

さきほどの自然な拍手には、そんなニコモたちの総意が現れていたのかもしれない。

 

するとすかさず、アンナの相棒を自認する(あくまでビジネス上)、ソノマも同意して。

 

「せやな。たしかにアンナなら、顔も可愛くて、スタイルええし、頭の回転だって早い。女優として売り出し中やし、なによりやる気もある。そんなアンナが生徒会長になったら、ニコラが一気に変わる気ぃするわ。うん、アンナなら間違いないやん!」

 

さあ大変。

 

想定外の展開に、ひとり焦り出すシャノン。こうなったら自分も何か言わなくてはと、必死で思考をめぐらす。

 

しかし同時に、ここで不用意に変なことを口走り、万が一にも「シャノンは生徒会長になりたがってる」「でしゃばってる」と思われるのも癪だ。

 

それでも、このまま何も言わないで黙っていたなら、それこそ全会一致で、あっさり《アンナ会長》に決まってしまいかねない雰囲気でもある。

 

(どうしよう、どうしよう)

 

こうして、どう行動すべきかシャノンがグズグズと迷っていた、まさにその時。

 

満を持して、といった感じで、いよいよ当事者であるアンナが口を開く。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

「あのね、みんな。せっかくだけど、私は―――」

 

たっぷり間をおいて。

 

「シャノンがいいと思うよ」

 

この発言に、一瞬、その場に深い沈黙が訪れる。

 

それからほどなくして、意外なところから反論が飛び出した。

 

「えっ、なんでですか? シャノンちゃんは、そりゃニコモ歴も長いし、読者人気もそこそこ高いけど、でも、すっごい人見知りだし、イメモじゃないし、それにあの、ちょっと失礼かもしれませんが、外仕事だってほとんどやってないじゃないですか」

 

中学生ながら、先輩に対しても言いたいことや思ったことは、歯に衣着せずにズバズバ言うタイプである、もんぢが参戦する。

 

「対して、アンナさんは女優として、たくさん映画に出演していて知名度もある。実績もある。ちっちゃい頃から芸能界に入っていて、コミュ力もある。何しろ『ニコラTV』では、ポンコツのリーダーに変わって 、今や実質アンナさんが仕切ってますもんね」

 

ここで話を切って、一同を見渡すもんぢ。

 

「それでも皆さんは、シャノンちゃんの方が適任だと思うんですか?」

 

意外に押しが強い。

 

というもの実は、もんぢ。アンナとは学年が違えど、去年の年末には群馬にある十文字家にアンナがお泊まりに来たし、つい最近は、もんぢが千葉に行き、アンナと2人でに東京ディズニーランドのホテルに泊まったように、とにかく仲良しなのである。

 

(やーめーてー)

 

そんなシャノンの心中などお構いなしに、もんぢ続けて。

 

「はいはい、みなさーん。レイナちゃんのお墨付きも得たことですし、もう、次期会長はアンナさんで決定~。どうでしょう?」

 

手を叩いて、強引に《星乃会長》でこの場をまとめ、話し合いを切り上げようとする。

 

さすがは「リアル学級委員」にして、入学式では新入生を代表し「誓いの言葉」を読んだ優等生。手際の良さは、目を見張るものがある。

 

と、そんな時。

 

ここで再び、アンナが口を開くのだった。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

「ちょっと、いいかな?」

 

あくまで控えめ、かつ遠慮がちながらも、女優として鍛えられた良く通る声で。

 

「あのね、ヒナノちゃん。私は、なにも『イメモじゃないからダメ!』とか、『外仕事やってないからダメ!』っていう理由には反対だよ。そもそもニコラの生徒会長は、純粋な一般知名度の勝負なんかじゃなくって、ニコモみんなをまとめるお仕事だもの。もちろん、外仕事の実績があるに越したことはない。けど、それ以上に大事なのは、ニコモや編集さん、そして何よりニコ読のみんなからの信頼なんじゃないかな」

 

アンナ、ここで一呼吸おいて、さらに続ける。

 

「それにね。ちょっと誤解してほしくないんだけど、私は、なにもシャノンが『古参オーデ25期』の『小6合格』っていう、ニコモ歴の長さと、オーデ出身の生え抜きだからっていう、単純な理由で推してるんじゃないの。ホント、私は心の底から、シャノンのこと、素晴らしいニコモだと尊敬してる」

 

他のニコモたちは、ここで一斉に、シャノンの顔を振り返る。

 

アンナ、とくに気にせずさらに続ける。

 

「私はね、シャノンちゃんに『責任感』を見るの。小6でニコモになって、最初から『ガーリー』を任されて、今に至るまで、ブレずにがんばって、そのキャラを続けてる。でも、そんな中にも、自分本来の姿である『不思議ちゃん』と『媚びない姿勢』『反抗期キャラ』に『風呂キャンキャラ』も滲ませつつ、それでいて、しっかり結果も出している。そういった、これまでの苦労した経験、努力、失敗に成功、そして何より、ニコラをより良くしていこうという熱い思いなどなど、全部全部ぜ~んぶひっくるめて、自分が先頭に立ってニコラを支えていこうっていう強い意志をね。だからこそ、たとえ表紙が現状3回でも、たとえピンがゼロでも、たとえ人見知りでも、たとえイメモじゃなくても、シャノンこそが次のまとめ役、つまりは第8代ニコラ生徒会長をやるべきじゃないかなって」

 

アンナは言い終えると、満足したように静かに腰を下ろす。

 

若干芝居がかっているのが鼻につくが、むしろその演技力に呑まれ、裏に潜む胡散臭さに気づく者は皆無であった。

 

―――もんぢを除いて。

 

・・・・・・

 

・・・・・・

 

ここで、しばらくの間、沈黙が訪れる。それぞれが、神妙な面持ちで、今のアンナの言葉を反芻しているようだ。

 

(ちょろい、ちょろい)

 

3歳から芸能界にいるアンナ。

 

もちろんこの一連の発言は、自身に流れが来ていることを確信した上での《演技》である。

 

何より彼女自身、ニコラの次期生徒会長は自分以外あり得ないと自負していた。

 

また、子分のもんぢには、昨日1日かけて、話に割って入るタイミングから、身振り手振り、表情、セリフの一言一句にいたるまで、厳しく演技指導を施しておいたのだ。

 

こうして沈黙が支配する中、もんぢにそっと目配せしつつ、笑いを必至でかみ殺すアンナであった。

 

その後ややあって、後方の席から声が上がる。

 

「あの、私もちょっといいかな?」

 

意外にも、他人やニコラ自体にあまり興味が無さそうなことから、クールな一匹狼として通るミアンが、口を開く。

 

ここまでの思いもよらない議論の行方に、司会の役割を忘れていたコハナ。

 

ハッと我に返って。

 

「あっ、はいはい。ミアン、ええでぇ」

 

許可が出たので、ミアンがしゃべり始める。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

「そりゃ、シャノンがやるのが理想だよ。なんてったって、オーデ出身の新高1の中で、ニコモ歴が1番長いんだもの」

 

この後、話がどう展開するのか予想できず、必然、みんなの視線がミアンに集まる。

 

ミアン、続けて。

 

「編集さんたちだって当然、シャノンには、読者からの強い支持があること、わかってる。でもね、シャノンの実績はどう? これまで過去に生徒会長を務めてきた先輩方の実績、みんな知ってる?」

 

この問いかけに、若干ざわつくニコモたち。

 

ミアン、一通りみんなを見渡した後、続ける。

 

「現会長のコハナはもちろん、その前の会長のカイラちゃんも、さらにその前のルキちゃんだって、みんながみんな、それぞれの世代で表紙回数がトップなんだよ」

 

静まり返る一同。ミアン、さらに続けて。

 

「外仕事実績だって、みんなすごい。コハナはもちろん『めざましテレビ』のレギュラーだし、カイラちゃんは『超無敵クラス』のレギュラー。ルキちゃんだって『すイエんサー』のガールズ。みんながみんな、それぞれ外仕事をがんばってたんだよ」

 

ミアン、ここでシャノンへと視線を移して。

 

「でも、シャノンは? シャノンの実績はどう? 外仕事っていったら、『美少女図鑑2024』だけだよね。しかも 1ページ。100人掲載されている中の。それでいて、変にカッコつけて『私が私じゃなくなる気がする』だの御託並べて演技のお仕事、拒否したりして」

 

ミアン、まだまだ止まらない。

 

「イメモだってそう。シャノンは、2年もあとから入って来たアンナに、結果的にかっ払われちゃった。表紙回数だって、アンナにあっという間に並ばれてる。そう、要は説得力!」

 

痛いところを突かれ、思わず下を向くシャノン。

 

それでもミアンは手を緩めない。

 

「アンナが言うように、みんなをまとめる力。リードする力。そして変えていく力。百歩譲って、そんな力が仮にシャノンにあったとしても、なんて言ったらいいかな、それを裏付ける客観的な事実っていうか、誰にでも、とくに普段の私たちを直接見ていない読者のみんなを納得させられるだけの実績。それも、『シャノンが会長なら納得だ』『シャノン以外いない』って思わせるくらいの圧倒的なやつ。そういうのが、果たしてシャノンにあるのかな?」

 

ここで、たっぷり間をおいて。

 

「結論をいえば、シャノンじゃ、ニコモがまとまらない。だからね、ここはひとつ、まあ暫定的にって形でも、取りあえずはアンナがやるってことでどうかな?」

 

こうして、シャノンとオーデ同期で、なにかにつけ相談にも乗ってもらっていた、信頼するミアンまでもが、意外にもアンナを推薦したのだった。

 

しかし、このミアンの意見に反論したのは、またしてもアンナ本人だった。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

先ほどの控えめな語り口とはちょっと異なり、やや挑発的な感じで。

 

「ミアンちゃんの言いたいことは分かります。でも、『シャノンじゃまとまらない』だとか、それに『あたしが暫定的にやればいい』だとかってのは、ちょっと―――」

 

ここで一呼吸おく。言いずらいが、思い切って言ってしまおうといった雰囲気を醸しだしつつ。

 

「そういうの、シャノンや、私に対しても、ちょっと失礼じゃないですか?」

 

ここでアンナが、まっすぐミアンの目を見据える。

 

さすがのミアンも、アンナに加勢したつもりでいたところ、思わぬ反撃を食らったことで、たじろいでいる。

 

一方のシャノンは、もはや完全にふて腐れ、下を向いていて、ミアンとアンナのバチバチに気づかない。

 

そう、シャノンは、アンナにばかり懐いて自分には一向に懐かない、もんぢは仕方ないとして、中立だと思っていたそのま、信頼するミアン、さらには大好きなレイナでさえ、自分を会長に推薦してくれなかったことに、深いショックを受けていた。

 

しかも、これに追い討ちをかけるように、会長ポストを争う最大のライバルであるはずのアンナまでもが、恩着せがましくも勝手な同情を自分に寄せることが許せなかった。

 

再び、気まずい沈黙が訪れる。

 

と、その時。

 

「あの、私もいいかな?」

 

沈黙を破り、いよいよ我慢の限界といった感じで、ミユウが手を上げる。

 

「はい、じゃあミユちゃん」

 

機械的にコハナが指名する。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

ミユウと言えばシャノンの相方。元来、ヤンキー気質で、ケンカっ早く、情に厚いことで知られる。

 

ここまで珍しく大人しくしていたが、いよいよといった感じで、まくし立てる

 

「あのですね、もんぢやミアンちゃんは、シャノンが生徒会長やることについて、無理だと決めつけるけど、でも、ホントに無理かどうかなんて、そんなのやってみなくちゃ、わかんなくね?」

 

先輩のただならぬ剣幕に、さすがのもんぢも一瞬たじろいたものの、あくまで冷静に言い返す。

 

「いいですか、ミユウちゃん。やってみてダメだった、では遅いんです。取返しがつかないもの。じゃあ、もしこのままニコラが休刊になったら、いったい誰が責任を取るって言うんですか?」

 

語彙力や論理では勝ち目がないミユウ、それでも必死で食い下がる。

 

とにかく、ここでシャノンを守れるのは自分しかいない!という強い使命感に突き動かされて。

 

「だーかーらー、やってもないうちから、そういう言い方、シャノンに対して失礼じゃね? だいたい、なんでもんぢに将来のことが分かんの。おまえ予言者か! 信じらんない!! 勝手に決めつけんな!!!」

 

俄然、シャノンの擁護に熱が入る。

 

基本、おバカなので、言っている内容は薄っぺらく、小学生の喧嘩レベルであるか、気迫だけは誰にも負けていない。

 

と、これにもんぢ、静かに反撃する。

 

「フフフ。ミユウちゃん、あなたニコ読ちゃんたちの間で、なんて言われてるか知ってますか?」

 

いかにもイジワルな表情で。

 

「えっ?」

 

さすがにこの返しに、ちょっとビビるミユウ。

 

そして次の瞬間、もんぢがタブーを口にする。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

「ミユウちゃんって、ニコモになる前は”地下アイドル”だったですよね。えーと、たしかグループ名は『南青山少女歌劇団』でしたっけ?」

 

一瞬、凍り付くミユウ。

 

それでもすぐに気を取り直し、顔を真っ赤にして反論する。

 

「ちゃうわ! 少女隊だいっ! てか、アイドルじゃねーし。ユーチューバーだし」

 

まだまだ収まらないミユウ。

 

「それに、『御上先生』や『オロナミンCのCM』で一躍注目を集め、この夏には写真集も出る上坂樹里さんが初期メンバーにいたように、エイベックス・ユースの選抜メンバーで結成された事務所肝いりの名門グループなんだぞ!」

 

今にも、もんぢに跳びかかろうとする。

 

「やんのか、こらっ!」

 

そんなミユウを、後輩たちが数人がかりで羽交い絞めにする。

 

「ミユウちゃん、落ち着いて落ち着いて」


「もんぢも、言い過ぎだよ」

 

「おい、おまえら手を離せ、離せってば!」

 

もはや、大混乱である。

 

そんな中。

 

あたふたして、なすすべもなく困り果てているコハナの隣に座る《裏ボス》フタバが、静かに口を開く。

 

「で、コハナはどう思うの?」

 

いよいよといった感じで、コハナに水を向ける。

 

ボスの一言で、それまでの喧騒はどこへやら。水を打ったように静まり返る一同。

 

そして、みんなの視線がコハナに集まる。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

一瞬「えっ!うち?」 といった感じで驚いた表情を見せたコハナであったが、すぐに取り繕って語り始める。

 

「うん、せやな。うちは、やる気のあるコがやるのが一番ええ思う。この点、アンナちゃんは、ニコプチ進級であることが嫌われてるみたいやけど、それを言ったらうちも進級やん。なにより、アンナちゃんはずっと真剣にニコモとしてお仕事に取り組んでる。表紙も3回やってる上、女優としてニコラ以外の場でも活躍してる。読者人気もあって、何より安定感もある。だから、アンナちゃんみたいなコが生徒会長になってくれると、ニコラとしては安泰だし、うちも安心やけど、やっぱり生え抜きの『ニコモオーデ×一般応募』じゃないと、この先いろいろ苦労するかもしれない。アンチの読者から、いろいろ言われるかもしれない。一方、シャノンの場合、やっぱり人見知りってとこが、ニコラのリーダーの資格としてどうなんか、心配する向きがあるのは、もちろんうちも知っとる。それでも、一般応募のコがニコラのトップに立つことが望ましいのは言うまでも無いし、それこそ読者受けもすごくええ思う。だから、ここはひとつ、間を取って―――」

 

コハナ、ここでたっぷり溜めて。

 

「オーデ出身で、人気も実績もそこそこあって、なにかと元気なミユウちゃんにやってもらうってのもええんやないかなぁ、な~んて・・・アハハ」

 

優柔不断で、すぐに周りの意見に流されてしまうコハナによる、やたら長い話の思いがけない着地点に、他のニコモたちは困惑気味にそれぞれ顔を見合わせた。

 

「コハナ、さすがにそりゃまずいって」

 

隣でボスが頭を抱える。

 

これを機に、他のニコモたちも、いっせいに非難の声を上げようとした、まさにその時!

 

シャノンが、ガタンと大きな音を立てて立ち上がると、きょう初めて口を開く。

 

「あのですね。しゃのんは、生徒会長とかイメモとか、そういうの、興味ないし、やりたくないし、別にどうでもいいんです。だから、みなさんで勝手に決めてくださいっ!」

 

一息に言い終えるや、編集部の会議室を勢いよく飛び出した。

 

そのまま走ってエレベータに乗り、扉を閉める。

 

そして、ようやくひとりっきりになったところで、シャノンの頬を一筋の涙が伝った。

 

※この物語はフィクションです

 

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