りっぱになった、あんちゃん



白井がニコラに興味を持ったのは、小6の春。親友の双子(一卵性)であるイサキ&シホネから、ニコモオーディションへの応募を強く勧められたことが、直接のきっかけであると本人が語っている。

たった1人の専属モデルの人気で、その雑誌の売り上げが左右されることもあるという事実に、やりがいと責任を感じた小学生の白井は、憑りつかれたようにニコモに憧れ、やがて、居ても立ってもいられず、新宿矢来町の新潮社本館ビルに入るニコラ編集部を訪れる。

そして、その日。たまたま編集部に居合わせ、手の離せない編集部員の大人たちに代わり対応してくれた現役ニコモが、とても優しい人だったので、白井は次のようなアドバイスを受けることができた。

 

 

白井「おばちゃん、だぁれ??」

高嶋「いちおうニコラのエースだよ~。200号の記念表紙も、うちがピンでやったのさ♪」

白井「わっ! ちょと太ってるけど、モデルさんなんだぁ」

高嶋「・・・(怒)」

白井「まあいいや。あのね、わたし、ニコモになりたいの」

高嶋「あら坊や。ニコモはね、自分から志願してくるようなコは採用しないことを覚えておくといいわ。ニコモになりたいのなら、まずは大学にきちんと進学することね」

白井「ふわぁ~!? ダ・イ・ガ・ク? それ、食べられるの?」

高嶋「いやいや、『大学芋』じゃなくって大学。そうだな、なんていったらいいのかな。とにかく学校。今よりたくさんたくさん、お勉強するところ」

白井「ほぇ~。学校かぁ(めんどくさそ)。じゃあ、わたしは、どこのダイガクで、どんなこと、お勉強したらいいの?」

高嶋「そうね。やっぱり専攻は法律に限る。それも、どうせ学ぶなら本場の海外。でね、しばらくそこでがんばってると、あとは編集部のほうから、きっとスカウトが来るはずよ。あの、八木アリサちゃんみたいにね」

白井「ふ~ん(ヤギ??)」

 

 

以来、白井の猛勉強の日々が始まった。

これまで、近所の公園のベンチで、学校にも行かず、日がな一日、ひとりで延々ごっこあそびに興じていた白井が、突然、人が変わったように勉強するようになったのも、ひとえに「ニコモになりたい!」という一心からだった。

 

 

あれから、数年後。

すっかり大人っぽくなった白井の姿が、ロシア連邦のワシリー島にあった。

努力が実り、かの国における最難関校の1つとされる、国立サンクトペテルブルク大学の法学部に入学を果たしたのだ。

そして、さらに時は過ぎて3年次の春。

白井にとって、人生の転機となる運命の日が、ついに訪れる。

かつて若き日に、ぷぅか先輩から教えてもらった通り、ある日ふいに「あなたに、ちょっとお話を伺いたいのですが…」と、編集長の使いとして、はるばる日本からやって来た、ニコラにーさん氏によるプローチがあったのだ。

スカウトである。

 

 

こうして、数年越しの夢が叶い、念願のニコモになることが決まった白井は、卒業を待たずに帰国。

そのままニコモデビューを果たすと、すぐにニコラ誌上で頭角を現し、瞬く間に同誌の次期エース候補の筆頭にまで上り詰めたのだ。

ただしこの時点で、3年後、まさかのダイエット失敗により、急転落。役職からも、イメモからも干されることになるとは、誰も想像だにしていなかった。

《おしまい》

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ニコ物語#2「りっぱになった、あんちゃん」